2019年7月31日
皆様こんにちは。
東京も梅雨がやっと明けましたね。
今年は寒くて長い梅雨でしたが、明けた途端に連日の猛暑で体がおかしくなりそうです。
今朝のTBSラジオで気象予報士の森田正光さんが興奮気味に話されていましたが
北海道の旭川が昨日(30日)は史上初の熱帯夜(最低気温25度以上)になり
これは1888年からの観測で初めてのことだそうです。沿岸での熱帯夜はあるそうですが
内陸の旭川で25度を下回らないのは異常だそうです。
131年の観測史上初とは!
皆様も毎日の体調管理大変ですがどうか気を付けてお過ごしください。
さて今日は当院で毎日行われている院内の感染対策についてお話したいと思います。
皆さんは日頃、歯科医院でどのような衛生管理がなされているかご存じですか?
現状、実は歯科医院によってかなりバラバラで、
きちんと院内の感染対策をやっているところもあれば、やっていないところもある。
しかし、やってないところはこのご時世におきましては、はっきり言いましてアウトです。
2年前の2017年7月4日読売新聞のこちらの記事をご覧になって驚かれた方も多いと思います。
この記事に指摘があるように使いまわしの器具により、HBV、HCVやHIVなどのウイルスを患者さんに
感染させてしまっている可能性が高いからです。
当然ながら院内感染対策がきちんとなされていない医院は、その医院で働く医療スタッフにも
感染させてしまっている可能性が高いですし、
もし万が一、感染してしまった場合、その患者さんや医療スタッフのご家族や恋人などにも
感染が拡大していく可能性もありますので、感染対策をやっていないということの
社会的責任は非常に重大だと思います。
ですから院内の感染対策は必ずやらなければいけないのです。
そもそも院内の感染対策には世界的に決められたガイドラインがあります。
それは、今からさかのぼること23年前、1996年アメリカ合衆国のCDC(疾病予防管理センター)で
提唱された『スタンダードプリコーション』というもので、日本では『標準予防策』と訳されています。
また16年前の2003年にはCDCにより歯科領域のための「歯科医療における感染管理のためのガイドライン」が発表されました。
当医院ではこちらのCDCガイドラインをもとに感染対策を行っています。
現在は日本の厚生労働省のガイドラインでも院内の感染対策の指針として勧告が出されております。
この勧告は日本のすべての医療施設、老人介護施設などを対象に出されていまして
直近ですと2019年3月に 「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」 として
厚生労働省ホームページに掲載されています。
スタンダードプリコーション(標準予防策)とは
感染症にかかっているか、また感染性の病原体の存在が疑われるかどうかに関わらず、すべての人を対象にして行う
感染予防対策のことです。すなわち、すべての血液、体液、唾液、分泌物(汗は除く)、排泄物はもちろんのこと
粘膜や傷のある皮膚も感染の可能性のあるものとみなし、感染予防策を講じるということです。
スタンダードプリコーションを徹底することにより患者さんから患者さん、患者さんから医療従事者、
また医療従事者から患者さんへの感染を防ぐことが出来ます。
ですのでこれは必ず行わなければならないことなのです。
医師もそんなの知らなかったでは済まされないですし、知ってて対策を講じていないのは医師の倫理に反すると思います。
当院ではこのスタンダープリコーションを厳守し患者さんひとりひとりに滅菌された綺麗な治療器具を使用しています。
こちらが当院の基本セットです。
治療に使うグローブは使ったらすぐ廃棄、コップ、エプロンもディスポサーブルで廃棄しています。
歯を削るダイヤモンドバーや歯石取りのスケーラーチップ、根管治療に使うステンレスファイルやNiTiファイル
治療に使用した感染の疑いのある治療器具は必ず滅菌するようにしています。
ハンドピース類も滅菌し滅菌バッグに入れて保管します。
スリーウェイシリンジも外して滅菌し、滅菌バックで保管です。
スリーウェイシリンジは水やエアーを噴射するもので、実はかなり汚染されています。
次に当院の滅菌工程のお話ですが、当院では使用した治療器具はまず最初に薬液による洗浄を行います。
使用した治療器具はすべて、ドイツのDURR DENTAL社のID212、ID220の薬剤に漬け込み、超音波洗浄を行います。
その後は洗浄し乾燥後、滅菌工程に入ります。
ハンドピース類に関しましては洗浄から滅菌工程までフルオートで行える専用滅菌器があるため薬液洗浄は必要ありません。
ハンドピース類は専用滅菌器 DAC Universal 2により滅菌を行い、終了後は滅菌バックに入れて保管します。
こちらがDAC Universal 2 です。
治療器具を滅菌する滅菌器、オートクレーブと言いますが実はこれにもランクがあります。
当院の滅菌器は世界一厳しいといわれるヨーロッパ基準EN13060のクラスBの滅菌器であるDAC Professionalを導入しています。
オートクレーブでクラスBのものを導入している医院さんはまだまだ少ないと思います。
これらを確実に日々の診療で行うことによりはじめて、院内での感染を防ぐことができます。
と同時に当然ながら莫大なコストが掛かります。
滅菌バックや、ラテックスグローブ、コップにエプロン、その他衛生管理に伴うゴミも毎日大量に出ます。
しかし、患者さんに安心して治療やメンテナンスで当院に来ていただくために、
また毎日働いてくれる医療スタッフを守るためにも
莫大なコストが掛かったとしても絶対に必要なことだと思いますし、医療倫理の観点からも当然のことと思います。
今後も練馬三丁目とおやま歯科の安全な診療環境を存続させていくうえでこの点は変わることはありません。
ですから皆様、どうか安心してお越しになってくださいね。
これからは参考程度にしていただきたいのですが、歯科医院が
きちんと院内感染をやっているかどうかを見極めるポイントがあります。
最も代表的なポイントは歯を削ったりするハンドピース類を滅菌しているかどうかです。
ハンドピースは治療の際に唾液や血液に触れますし
実は構造上、内部にも少量吸い込まれてしまいます。
それをそのまま次の患者さんに使うとどうなるか。
ですからハンドピース類の滅菌はマストなのです。
これを確認する方法はいろいろありますが、まず何といってもホームページでハンドピース用の滅菌器を
設置している旨を告知されているかどうかです。
次に判断するポイントは、ハンドピース類が治療用のチェアユニットについたままかどうかです。
ついたままのところは間違いなくハンドピース類の滅菌はしていません。
また仮にハンドピース類がついていなくても、ただ単に外しているだけで
実際はアルコール等で拭くだけで、滅菌せず使いまわしているケースも多くあるので
注意が必要です。
悪質なのが、滅菌バックにいれて見た目は滅菌をしているように装っているケースです。
その場合を見極めるのは大変ですが、ひとつの見極めポイントは使用の際「滅菌バックを破っているか」どうかです。
滅菌していない場合は滅菌バックに封がされていません。
滅菌したものを使用する際は滅菌バックを破ってから中身を取り出しますので、かならず破る「音」がします。
「音」がしない場合は封がされていないわけですから滅菌バック偽装されている可能性があります。
まぁここまでくるとレアケースだと思いますが。
もしいまだにやっているところがあるとしたら恐ろしいことです。
今日は院内の感染対策についてでした。